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ワークショップや他の機会で色々な人の制作の様子を見ていて、必要だと感じたちょっとした縫い方のコツや技術を掲載しています。

洋裁ワンポイント・ソーイング ワンポイント01

針に糸を通す? 糸に針を通す?

ぼくの経験では、下の「1」の写真のように、利き手に糸、逆の手に針を持ち、糸を動かして針に糸を通すのではなく、「2」の写真のように利き手に針、逆の手に糸を持ち、針を動かして糸に針を通す(かぶせる?)方が、簡単に糸が通ります。
理由は、柔らかい糸を動かすと先端は揺れるけど、硬い針を動かしても先端は揺れないから、と、手前に針があると針穴から糸の位置が見えるから。

この方法を採用しても、制作が早くなるわけではなく、仕上がりが良くなるわけでもありませんが、それでもこの話を最初にする理由は、「『針に糸を通す』という、当たり前の話にも、疑う余地がある」ということを言いたいからです。
「先生の言う通りにすればいい」というような思考停止状態は、ぼくは好きじゃなくて、それぞれの人が一度は自分で疑問に持ってみて、自分で模索して、自分で答えを見出せばいいのだと。
これは、考え方を自由にする方法でもあると思います。
デッサンを描いてイメージすることから始め、構造を絵に描いたり、「手を使って考える」ことは、理解に必要な過程だと考えています。

玉結び・結び玉

玉結びには、針で作る方法と指で作る方法があります。
どちらの方法でも出来ますが、玉の大きさが一定に保て、先端の糸の長さが調節できるため、針で作る方が良いと思います。
ここでは、針で作る玉結びの作り方を紹介します。


玉結び・結び玉 の大きさについて

フェルトの切りかた

フェルトを切るときは、型紙をフェルトの上にのせて、ペンなどで線を書いてから切る方法と、型紙をフェルトに待ち針でとめて直接切る方法とがありますが、特に細かいものは、直接切ることをオススメします。
慣れれば、2枚同時に切ってもかまいませんが、それが難しいときは、一枚づつ切ってください。
型紙を少し大きめに切って、フェルトにセロテープで貼りつけてから、型紙と同時に切る、という方法でも良いと思いますが、フェルトが余分に必要だと思います。

待ち針は、たくさん使いましょう

縫製工場では縫うときに待ち針は使わないし、手なれれた人も同じ傾向があると思いますが、出来なければ、無理に真似をしない方が良いでしょう。


「なみ縫い」は、「並みの縫い方」ではないかもしれない。

やまむらやぬいぐるみ店での、フェルトぬいぐるみの縫い方は「なみ縫い(写真【1】左)」で、なみ縫いにした最初の理由は、子どもにも縫いやすくて簡単だということでした。

一般的なフェルトぬいぐるみは、「ブランケットステッチ(写真【1】右)」という縫い方をしていて、太い糸を使って飾りとして縫うこともありますが、なるべく縫い目を目立だせないように細かく縫います。

縫うこと自体は「なみ縫い」の方が時間がかからなくて簡単ですが、双方の縫い方には、それぞれ特徴があります。

裏から見ると「ブランケットステッチ」では縫い目が開くけど、「なみ縫い」ではあまり開きません(写真【2】)。
なので、表から見たときに「ブランケットステッチ」の方が平らになり、「なみ縫い」では縫い代が立ち上がります(写真【3】)。
また、「ブランケットステッチ」ではフェルトの裁ち端を糸でかがっている(つぶしている)のに対し、「なみ縫い」では裁ち端がそのままになります。
この2つの理由によって、「ブランケットステッチ」よりも「なみ縫い」の方が、縫い目が目立ち、フェルトぬいぐるみを縫うときに「ブランケットステッチ」を選ばれる理由は、縫い目は「できれば見えない方がいい」からです。

ではなぜ、やまむらやぬいぐるみ店では「なみ縫い」にしているかというと、一つは、子どもにも縫いやすく簡単だということもありますが、縫い目が目立ってもきれいなデザインを追求しているからです。
この「縫い目が目立ってもきれいなデザイン」というのは意外に難しく、型紙の構造を考えるための時間が余分にかかります。
この条件が満たせないという理由で、計画しただけで作っていないものもあります。
でも、「『縫い目が目立ってもきれいなデザイン』の方が、作っていて驚きがあって面白い」という特長もあります。

「『なみ縫い』がやまむらやぬいぐるみ店のデザインを決めている」というのは、ちょっと大げさですけど、かなりデザインに影響してます。


フェルトの縫い方



最初と最後の縫い方




フェルトぬいぐるみの綿(わた)の詰め方の話

フェルトぬいぐるみの綿の詰め方の話。 ボクは、フェルトぬいぐるみに綿(わた)を詰める時には、写真のマイナスドライバーを使っています。
大半は大きな方で済みますが、時々小さいものが必要になります。
自分では、最後に一気に綿(わた)を詰めていますが、細かい部分は特に、その箇所が縫い終わりしだい綿(わた)を詰めても良いと思います。

綿(わた)をどのくらいの密度で詰めるかは、場所によってだいたい4段階に分かれていて、ここでは写真右のトリケラトプスについて説明します。

1番目は、出来るだけ沢山詰めるところ。
ここでは足がそうで、できるだけ固くしましょう。
縫い方が緩いと縫い目が開いてくるので、縫う時の強さにも気をつけて下さい。

2番目は、普通の強さの場所。
大半の場所がこれです。シルエットが丸みを帯びてくるあたりを目安にして下さい。

3番目は、少しだけ詰める場所。
ここでは下顎がそうで、ふわっと詰める程度です。あまり詰めると口の中が膨らんできます。

フェルトぬいぐるみの綿の詰め方の話。 そして、4番目は全く詰めない場所。
ここでは角と顔のヒラヒラの部分がそうです。
角は全体の重さがかからないので、何も詰めないことが多いですけど、シカやトナカイは詰めています。
因みに、写真左のステゴサウルスのヒレ?には綿は詰めていませんが、詰めても雰囲気が変わって良いと思います。



下の写真のぬいぐるみは、足の先の綿の詰め方がそれぞれ違います。
左のティラノサウルスはかなり沢山、中央のアマルガサウルスは少し、右のディメトロドンは全く詰めていません。
4本足は見た目の好みでも構いませんが、2本足では固くしないと自立しません。

フェルトが足らないときの、はぎ方

材料がたくさんある時は必要ありませんが、無駄も多いので、型紙は1枚でも、目立たないところで縫目にしているものもあります。
そのときは、型紙を切り離して、縫い目のところの縫い代(2mm)をつけて裁断し、外表で縫い合わせます。


ティラノサウルス2スピノサウルス2アロサウルスディロフォサウルス
※左から、D-01、ティラノサウルス2、D-02、スピノサウルス2、D-05、アロサウルス、D-22、ディロフォサウルス

オウラノサウルスミラガイヤステゴサウルス2エラスモサウルス
左※から、D-20、オウラノサウルス、D-07、ミラガイヤ、D-14、ステゴサウルス2、D-17、エラスモサウルス


フェルトぬいぐるみを作るとき、いつも使ってる糸は

特に決まりはありませんが、普段はこんな糸で縫っています。
毛糸売り場などで売っている綿100%のものです。
刺繍用の糸でも大丈夫ですが、「使わない時の管理が楽」という、わりといいかげんな理由で利用しています。