HOME立体マスク フリー型紙・作り方 > 立体マスクの形について

いくつかの布製立体マスクをデザイン、制作をしてみて、共通の考え方があることに気づきました。
ここでは、その考え方について記します。

※生地に伸縮性については無視しています。
※「何がキレイか」には、主観が入っていると思います。
※基本的な機能として、「侵入防止」より、「拡散防止」を重視しています。

横顔

人の横顔を描いてみました。
このイラストを元に、マスクの形について考えてみようと思います。
実際には、顔の輪郭は千差万別で、それぞれに顔に似合うマスクの形も違ってきますが、今回、機能面では「鼻と口が常に安定的に覆われている」ということを目的に、そのために鼻から顎までかかることを条件とし、デザイン面では、顔が細く見えるような形(小顔効果?)を目指しました。

通常、売られているマスクの考え方

最も、基本的な形だと思われる長方形を顔にあててみると(2)のようになり、このままではマスクの上下の空間が開きすぎ、しかも着けていて安定しません。

通常、売られているマスクは、この長方形の形を土台にして、ひだ(タック)をとった(3)のようなものが主流だと思いますが、これは畳むと長方形にできるということの、生産、運搬などの合理性も、この形に至った理由だと思います。
この形は構造上、横から見ると均等な扇形に、A~B、C~Dは直線になり、この形は、A~B、C~Dの距離が同じであることが、欠点の一つだと思います。
このまま使うと、横から見たマスクの横中心線上より耳の位置が高いことになり、バランスが悪くなります。このことは、(C)の位置をより深く(図では、より左側)にすれば解消されますが、今度はマスク自体の高さ(B~C)な長くなりすぎてしまいます。

また、A~Dの線が、魚のエラのように、ヒラヒラと浮いてしてしまうケースも見受けられますが、それは、A~Dの線のひだ(タック)を固定するために、一定の幅(約1cm)必要となり、その幅を持った部分を強くカーブさせることによって、カーブの内側(耳側)が浮いてしまうこと、あと、そもそも、A~Dの距離が長すぎ、耳にかけたゴムとマスクとの力の関係により、A~Dの線全体が浮いてしまうことが原因です。

長方形? 扇形? ひし形(レモン形)?

この時点での結論としては、立体マスクの大まかな形が「長方形」であるよりも、「逆扇形」であることが望ましい、という結論に達しました。(4)
また、「ひし形(レモン形)」のような、両脇にかけて縦の長さが短くする方が、全体的な顔のシルエットが、ほっそりとキレイに見え、小顔効果が期待でき、このようなシルエットにするためには、型紙の外郭をひし形(レモン形)に近づけるか、ひだ(タック)をとるか、その2つの組み合わせによって実現させることができます。(5)

今回制作した立体マスクの考え方

今回制作した立体マスクの考え方としては、上記のことに加え、柔らかさが出るよう、直線の箇所がほとんどない形にし、鼻とアゴを視線に覆うよう、前中心を切り替えにしたタイプと、A~Dに深いひだ(タック)をとったタイプとに分かれています。

おわりに

最初は、必要にせまられて始めた立体マスクのデザイン、制作ですが、いざ作り始めると、これがなかなか面白くて、しかも、一つのものを作るのにあまり時間もかからず、短期間にバリエーションも増えてしまいました。
また、ちょっとしたことで大きく印象が変わる難しさは、襟のデザインなどにも共通で、「やはり、顔に近いものは、細かな精度も必要だ」と再確認しました。